一音一音噛みしめるようにゆっくりと弾く

こんにちは、アコースティックギターリストの矢野サトシです。

今日は僕のソロライブにいつも来て下さるNさんから一通のメールを頂きました。

 

【ご相談内容】
僕は人前で演奏する時、緊張して頭が真っ白になったり、
フレーズが飛んだりして今何を弾いてるのかわからなくなったりします。
これらを少しでも無くす方法があれば教えて下さい。
ステージ上でフレーズが飛んでしまったらホント焦ってしまいますよね。
僕もたまにあります(笑)
原因としては、テクニカル及びメンタルの両面が考えられると思います。

 

例えばステージ上でアタマが真っ白になってしまった時、色々な切り抜け方もあることはあるのですが、どうしても付け焼刃的になってしまい根本の解決には至らないことも多いので、今回は長い目で見た場合のテクニカル面からの方法をまず探って行きたいと思います。

曲の演奏中、突然フレーズを見失うというのはどんな状況でしょうか?

 

判りやすいところでシンディ・ローパーの『Time after time』という曲で考えてみたいと思います。

この曲って全編に渡ってすごくキャッチ―でインパクトがありますよね。

 

『Time after time』がスラスラと弾ける時というのは、例えば電車で特急に乗っていても各停に乗っている時と同じように駅間でそれぞれの駅名がスッと出てくるような状況だと思うんです。
逆に弾けない、詰まる時というのは主要駅は覚えてるけどそれ以外の各停でしか止まらない駅名(フレーズ)が出てこないだけなんですね。

ではここから肝心の解決法をお話ししてみたいと思います。

 

【例】『Time after time』
①元の(参考にしたいアレンジの)楽曲をしっかりと味わうように聴く
②曲のKey及び最低限スリーコードを把握しておく
 Key=C、スリーコード:C、F、G
③曲を大きく分割して構成を判っておくこと。
 イントロ、1番、間奏、2番、間奏、大サビ、エンディング
 もう少し細かく区切ると、
 イントロ、Aメロ①、Bメロ①、Cメロ(サビ)①、間奏①
 Aメロ②、Bメロ②、Cメロ(サビ)②、間奏②、Cメロ(サビ)③、エンディング
④『練習の段階で一音一音噛みしめるようにゆっくりと弾く。』

 

判りやすく言えばひとつの曲、それぞれのフレーズを点ではなく、つながった1本の線として捉えて頂ければと思うんです。
名曲と呼ばれる楽曲ほど、作者が一音一音にある種の意味を持たせそれを次の音へと連鎖的につなげて行かれてるんですね。
メロディだけでメッセージが伝わってくるというのは恐らくこんなところから来るんだろうと思います。

 

また、
「速いフレーズの曲は初めから速く弾く練習をしないといけないんだ。」
と思われてる方も多いかと思います。

 

本当は違うんですよね。
昔の僕がそうだったから判るんです。
電車で各停に乗っている時のように『しっかりと味わうように聴いて』、『噛みしめるようにゆっくりと弾く』ことによって正確なタイム間、心地の良いノリ、強弱、ひいては感情表現まで練習の段階でつかむことが出来るんです。
このコード、この音がその位置にある意味を少しずつでいいのでゆっくり弾きながらそれを感じてみて下さい。
すると今まで出てこなかった駅名(フレーズ)がスッと感覚として自然につかめますよ(^^)
むしろテンポを上げることは一番最後で構いません。

 

普段の練習からそうすることによって一音一音の意味を理解することにも近づきますし、何よりも1本の線として流れがつかめますのでステージ上でフレーズが飛ぶということも自然と無くなって来ると思います。
アコースティックな音なので今日やって明日すぐというような即効的な練習ではありませんが、続けることで確実に効果は上がりますよ(^^)
あなたのスキルアップにぜひお役立て頂ければ幸いです。

 

ちなみにこんなコラムも以前書かせて頂いてますのでご参考にして頂けましたら幸いです。
『何度やっても思い通りに弾けない時は・・・』
『何度やっても思い通りに弾けない時は・・・②』

 

※次回は今回のご質問内容についてのメンタル編をお届けしたいと思います。